5つの言葉

「お陰さま」

「頂きます」

「ご馳走様」

「勿体ない」

「すみません」

 

この5つの言葉は、古来より育んできた日本人の美しい心を表す言葉です。

この5つの言葉には、「自分はいろいろな物や人にお世話になっている」ことに対する恩に報い、恩を知るという意味を内包しています。

 

お陰さま

何かしら目に見えないものに支えられていることを昔から、「お陰さま」と表現してきました。

普段は特に何をしているわけではないですが、お陰さまで…といわれると「陰ながら気にしておいてよかった。ほかに何かできることはないだろうか」と暖かいものが心に流れてくると思います。

この言葉は、自分の知らないところで、いろいろな人たちにお世話になっていることの自覚を促し、感謝の心を引き出す言葉です。

 

頂きます

これから自分が口にする食事として犠牲になった命に感謝し、合唱するときに言う言葉です。

食事は体を養うものですが、身心は一体ですから、食事はまた心を養うものでもあります。心を養うとは、心を育むことであり、心は「善なる行い」をしていく中で育むことができます。そして、心を育んでいる中で、人としての徳を養うことができます。

この言葉は、自分が生きているのはこの命の犠牲のお蔭なのだと感謝を表す言葉です。いわば「この命を頂きます」という意味なのです。

 

ご馳走様

「馳」とは駆けること、「走」とは走ること。つまり、食卓に上がった食事には、作ってくれた人の苦労はもちろん、お店の方や生産者の方まで、いろいろな人たちが駆け回ってくれたお蔭であり、そのご苦労に感謝する言葉が、ご馳走様となるのです。

 

勿体ない

どんな小さな生き物であろうと、些細なことであろうと、命は命であり、もしかするとご先祖の生まれ変わりかもしれないから、決して粗末にしてはならない、という仏教の言葉を由来としています。

昨今では、「Mottainai」と、この精神を理解した 環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが提唱し、国際語にもなっている言葉です。

 

すみません

単純に謝る言葉と思われていますが、この言葉は「日頃からお世話になっているあなたに対して、今の私のこの行いでは到底済まされるとは思いませんが…」という謙虚な心を由来としています。

特に悪いことをしたわけでもないのに、すみませんと言ってしまった経験があると思うのですが、その理由は無意識的に「相手に対して報い足りない」という気持ちが心の奥底に流れているからだと思います。

ありがとう、のかわりに、すみませんと言うことも相手に対する同様の感謝の気持ちからでしょう。

 

この5つの言葉は昔から日本人の中で日常的に使われている言葉です。

これらの言葉は、皆が誰かに、何かに「生かされている」という自覚、そして「自分を生かしてくれているものに対して、果たして自分は十分に報いることができているのだろうか…」という謙虚な心から生まれたものです。

 

恩を知り、恩に報いる」という心こそが、日本人を日本人足らしめている心であり、

この心をなくして、権利ばかりの自己主張しかしないような”モンスター”と呼ばれる人たちが増えているのは、少し怖いことだと思います。

 

これからの日本が、日本人がそう「存在」していくためには、日本に生まれたことに、日本人自身が誇りを持たないといけません。

諸外国と比べて劣る面は確かにあるでしょう。しかし、優っている点も多いのです。

欧米の価値観を基準とするのではなく、日本は日本の価値観を基準とするべきです。

その価値観は教育でしか与えることはできません。

日本の価値を高めることができるのは、教育しかありません。

その教育とは、正確な歴史を学ぶことで国を知り、美しい四季を感じることで情緒を高め、本を読む音で感性を磨き、勉強することで思考を深めることです。

自らで学ぶ心を育むこと、それが私の求める「自主独立学習」の教育の本質です。