読解力を育てよう

みかんせいの学習は、

「一人で学習できる力を付けること」

「自分で自分の力を伸ばす学習能力をつけること」

つまり

「一人でも勉強をできる能力をつけること」を目的としています。

 

教科書を一人で読んでも理解できる

参考書を一人で読んでも理解できる

自分の解答を模範解答と照らし合わせて解答できる

自分の過ちや間違いを自分でその理由を正確に分析できる

自分が行きたい方向へ行けるように自分の行動を決定できる

そのために意味のある努力をする

 

こういったことができる人を育てるのが目的ですが、

それらを一言で言うと「読解力を育てる」ってなります。

 

えっ?って思うかもしれませんが、

読解力は「文章への理解力」のことでもありますが、

空間判断能力とも言えるんです。

 

現在いる空間と将来にあるであろう空間を判断して、

現状の自分がただ進む先にある空間(未来)と

現状の自分が自分で決定した行動(努力)を続けた先にある空間の

どちらに進むのだろうかを自分で選択することが、

空間判断能力となります。

 

まぁ簡単に言うと、

何もしないでもやってくる未来をぼーっと待つのか、

相当の努力を積み重ねて未来の選択肢を広げるのか、

そう言うことです。

 

積み重ねた努力があったからといって、

自分が望む未来になるかは不明です。

 

でも、

本気でやった努力は、

その内容そのものよりも、

努力をし続けた自分自身の心と魂が磨かれますからね、

将来的には、そういう「考えて、努力ができる自分」を得ることの方が、

何倍も自分の人生を豊かにすると思います。

 

もっとも…

自分が望む未来になるのが一番いいでしょうからね、

まずはそこを目指しましょう笑

 

 

さて、そんな読解力ですが、

それこそぼーっとしてても育つことはありません。

 

では、どうするか?

あなたならどうしますか?

 

本を読む!

というのが真っ先に出てくるかもしれませんね。

 

読解力を伸ばすために本を読む。

確かに、結果的には本を読むことになるのですが、

果たして本を読んで、

本当に「読解力」は伸びるでしょうか。

 

結論から言うと、伸びません。

正確に言うと、「読み方」を変えないと伸びないんです。

 

そこで、突然ですが問題です!


江戸時代の天皇と朝廷は、幕府に完全に統制され、財政的にも幕府に支えらえれていた。

幕府は朝廷に3万石を与え、その中から皇族や公家は家格に応じた禄高を得ていた。

 

 

この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

 

 

公家は(   )から家格に応じた禄高を得ていた。

 

 

    天皇

    幕府

    皇族

    朝廷

 

 


さぁ、どうでしょう?

この文章は、ある歴史の教科書(中学生用)からの一節です。

文章をしっかり読んで、考えてください。

 

大人ですからね、よもや間違うはずはありませんよね?

 

私、歴史苦手だから…とか言う言い訳はなしです。

これは歴史の知識を問うているのではなく、「読解力」を問うている問題です。

つまり「文章がちゃんと読めていますか」を問うているのです。

 

と言うことで、また突然問題です!

 


 原子に含まれる電子の量と陽子の量は等しいので、原子は全体として電気的に中性である。

 

 

上記の文が表す内容と以下の文が表す内容は同じか。「同じである」「異なる」のうちから答えなさい。

 

 

 原子は全体として電気的に中性なので、原子に含まれる電子の数と陽子の数は等しくなる。

 

 

①同じである

②異なる

 


さぁ、どうでしょう?

これもある理科の教科書からの引用です。

 

もしこれが不正解なら…

もう子どもに「理科なんて教科書読めばわかるでしょ!」とは言えなくなってしまいます笑

 

最初の問題は「係り受け解析」といって、

文章を読むときの基本的能力を診断する問題です。

主語と述語の関係、指示語が指す内容をきちんと理解できているかを診断しています。

この能力が低いと、当然ながら、教科書は読めません。

まとめるポイントもわからないでしょう。

本を読んでも、内容はわからないでしょうし、

仕事上で書類やメールのやり取りの中で、齟齬が生じることもあるでしょう。

 

文章は読める、でも内容が理解できない。

これでは「読めている」ことになりません。

つまり「読解している」ってことにはならないのです。

 

次の問題は「同義文判定」といって、

同じ内容の文章かどうかを判断できるかを診断しています。

これは例えば子供達が解答を自己採点するときに、

模範解答と自分が答えた内容が、表現は違えども内容は同じかどうかを判断するときに必要な能力です。

日常生活においても、同じ内容を違う表現で言うことが多くありますからね、

この能力が低いと、話し相手が何をいっているのかわからないってことになります。

その話し相手が、仕事のクライアントであったり、取引先であったりすると、

個人的にも会社的にも大きな損失を被ることになります。

 

今回、大学共通テストから、記述式問題の採用が見送られましたが、

その理由は、採点者のこの能力に関係します。

同義なのにも関わらず、表現が違うと、

それが正解か不正解かを判断できないだろうって問題が解決できなかったんですね。

一時は「模範解答通りじゃないとダメ」みたいな話になりましたが、

それでは表現力を測るっていう趣旨とは大きくかけ離れますしね。

でも、同義かどうかを判断するのは、

アルバイト学生に限らず、

学校の先生でも判断できるかどうか、です。

多分、厳しいのではないかと思います。

 

記述式は、大学独自の入試、いわゆる二次試験だけでいいんじゃないかなと思います。

もっとも、個人的にはセンター試験も、大学共通テストの必要なんだろうか…と思ってます。

まぁ、これは余談ですね。

 


読解力と言うのは、

文章の理解力であり、

言葉の理解力です。

 

多くの言葉の「意味」を知ることが、

読解力を伸ばすことになります。

 

人間が他の生物と全く違うところは、

「文字としての言葉を理解できる能力」があるところです。

つまり、読解力とは人間として生きる能力そのものなのです。

だから、読解力を伸ばすと言うことは、

人間としての自分の能力を伸ばすとも言えると思います。

 

では、どうやってその力を伸ばすか。

国語を勉強すればいい、と思うかもしれませんが、そういうことでもありません。

読解力=国語、と思っているかもしれませんが、

実は、全くそんなことはありません。

読解力は「国語を勉強」したからといって伸びるものではありません。

 

しかしながら、読解力がないと、

国語も算数・数学も理科も社会も英語も社会生活もままならないでしょう。

なので、読解力は人生をより豊かに生きるための基本的な能力、なんです。

先ほどの問題は、教科的には国語の問題ではないですよね。

そう言うことです。

 

では、読解力を伸ばす方法ですが、

すでに、その方法については述べました。

さて何でしょう?

意地悪ですね、これ笑

 

答えは「多くの言葉の意味を知ること」です。

といっても辞書的な意味、と言うことではありません。

 

言葉には定義というものがあります。

その定義を理解することが、言葉の意味を知るってことになります。

例えば、正方形の定義とは「4つの辺の長さと4つの角度が同じ四角形」というものです。

言葉の意味的には、

正方形の「正」は「辺と角度が等しい」という意味で、

正方形の「方形」は「四角い」という意味ですね。

この定義がわからないと、正方形という言葉(モノ)は使うことができないでしょう。

 

多くの人は、こういった定義を結構疎かにしています。

定義は「〜とは、…である」という表現を使って表すことができますので、

このことを意識するだけでも言葉の意味を知ることはできるでしょう。

 

また、文章についても同様で、

どの国の言語も基本的には「主語と述語(動詞)と目的語・補語」があり、

それを意識するだけでも、文章の理解は飛躍的に深まります。

 

ですので、普段から「主語と述語と目的語」を意識して、

文章を見ることが大事なんです。

 

多くの言葉の意味を知るために、

本を読むこともありますし、

多くの人の話を聞くこともありますし、

たくさんの文章に触れることもあります。

 

大事なのは、それを「文字を読む」ことにするのはなく、

「内容を読む=考える」ってことにすることです。

そうしたことの積み重ねが読解力を伸ばす方法なんです。


江戸時代の天皇と朝廷は、幕府に完全に統制され、財政的にも幕府に支えらえれていた。

幕府は朝廷に3万石を与え、その中から皇族や公家は家格に応じた禄高を得ていた。

 

という先ほどの文章。

この最初の文章の主語は「天皇と朝廷は」で、述語は「支えられていた」

次の文章の主語は「幕府は」で、述語は「与え(た)」、目的語は「朝廷に」と「3万石を」となり、

さらに「皇族や公家は」ー「得ていた」ー「禄高を」となります。

 

この関係がわかると、禄高(3万石)の流れがわかりますね。

3万石は「幕府→朝廷→皇族&公家」と渡りますから、

公家は「朝廷から」禄高を得ていたってことがわかります。

 

この問題で「天皇」を選んだ方がいるかもしれませんが、

文中では「天皇に与えた禄高」は出ていませんよね。

もし「天皇」を選んだなら、それは文章を読解したのではなく、

知識的なもので答えたってことになります。

知識が正確ならいいのですが、違っていたら…

これが仕事だと「思い込みでの失敗」につながりかねません。

 


原子に含まれる電子の量と陽子の量は等しいので、原子は全体として電気的に中性である。

 

これも主述の関係をはっきりさせるとわかりやすいです。

あと「〜なので」という接続詞の言葉の意味ですね。

これは「前の文の理由から、後ろの文の結論になる」ということを意味する接続詞です。

 

 ということで、

原子に含まれる電子の量と陽子の量は等しい>=<原子は全体として電気的に中性>

という関係だとわかりますね。

もっと短くすると、

電子の量と陽子の量は等しい>=<電気的に中性>

となります。

 

ということは、

「電気的に中性になるには、電子と陽子の量が等しくなる」ってことになりますので、

意味的には、同じになるなってわかります。

 


学習における読解力は、文章を正確に理解するための力となりますが、

この力は、全ての学習の基本です。

 

しかしながら、学習に限らず、人間として生きる力の基本となるものでもありです。

というのも、読解力って対人コミュニケーションの基本能力ですからね。

子どものうちは読解力は飛躍的に伸びますが、

もちろん、大人になっても伸ばすことは可能です。

 

僕も人生の折り返し地点はだいぶ過ぎていますが、

学び続けて、まだまだ向上したいと思っています。

そのためにも、読解力を鍛えなきゃなって頑張ってます!