さて、いよいよ最終回です。
多読ではなく、読書の技術を上げるのは、適切な方法と適切な時間が必要です。
言うなれば、一冊の本でも深~く読み込めば、何十冊をサラッと読むより効果があります。文章を読む、本を読むということは、「文章を分析し、解釈し、考察すること」であり、目で字を追うことではありません。
この「文章を分析し、解釈する」方法が、人生で役に立つ読書、読むための能力になってくるのです。
ではどうやって「読書技術の向上」をしていくのか?
それは「1人で本を読まない」ってことです。同じ本を読んだ人たちを本の内容を語り合うこと、です。ちょっとしたファシリテーター的な役割をする人が必要になるんですけどね。
内容の感想を聞くのではなく、どんな人が出てきたのか、その人はどんな性格なのか、何をしている人なのか、なぜそんなことをしたのか、この場面でのこの描写は何を伝えようとしているのか、などなど本の内容をきちんと捉える読み方をするのです。
それらを意識しながら読むことで、これまで見落としていたことがなくなるでしょう。
誰かに内容を伝えようとするためには、本の細部まで読まなくてはいけないですしね。
また、同じ本を読んだ人たちで語り会うことによって、自分では気がつかなかった新たな発見もあるでしょう。
要は、本を「解釈する」ために、そこに書いてある文章を分析しながら読むのです。
ファシリテーターが上記のような質問しながら、物語や論説の細部に切り込んでいくことで、内容をより深く味わっていくのです。
正しい読み方は、すべての学習の基本ですし、より善く生きるための能力になります。私たちは言葉を使います。言葉は、発し合うものです。話すこと、聞くこと、読むこと、書くこと。そのどれをとっても、正しい理解と受容と批判につながります。自分の言葉で自分の考えを表現できるようになるためにもね、正しい読み方をマスターして、学び続けましょう。<了>